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繊細にして濃厚。真冬の“お宝”、真鱈白子

雪のように真っ白な真鱈の白子は、寒くなればなるほどにおいしさを増す食材。
白子ですから当然、雄からしかとれず、魚体の小さいものからも少量しかとれません。
貴重な冬の風物詩を、握りでどうぞ。

真っ赤な目印に目利きの確かさを実感

「真鱈は、エラの真っ赤なものが鮮度がいいんだよ」。石巻出身の髙橋勇吾店長がエラ蓋を開けながら、その鮮やかな赤を見せてくれます。エラが赤くて目が澄んで、大きな魚体にぷっくりとハリのある真鱈。今日は特に延縄漁による“釣りもの”が手に入ったので魚体にも傷がなく、活〆のお蔭で鮮度も最高です。大寒を越し、石巻港に揚がる真鱈も旬真っ盛りを迎えました。

風味と食感を最大限に引き出す引き出す熟練の下ごしらえ

鱗をとった真鱈の腹に包丁を入れ、白子をはじめとする内臓を取り出します。鮮度のいい白子は透明感のある乳白色。体長60㎝・重さ3㎏ほどの真鱈からとれる白子は4~5人前程度ですから、まさに「お宝」といっていい食材。破らないよう丁寧に扱い、筋にはさみを入れ、ひと口大の大きさに切っていきます。身の方は握りにはせず、椀物や揚物など冬ならではの一品料理に活用します。

ぐらぐらに沸かした湯に通し、白子はさっと茹でます。すぐに氷水にとって急冷し、きゅっと〆たら最後の下ごしらえ。水の量に対し3%の塩を加えた塩水を作ります。これを「立て塩」と言いますが、繊細な風味の魚介類にやわらかな塩味を加え、旨みを逃さないための下ごしらえです。この立て塩に昆布を加え、握る直前まで白子を寝かせじんわりと塩気と旨みを馴染ませます。

ぷるぷる、とろり。シャリを包む濃厚な海のクリーム

海苔で軍艦仕立てにした「真鱈の白子」は、噛めばぷるりと小さな弾力を残し、とろりと口の中にあふれます。人肌で握ったシャリがほどけると、そのひと粒ひと粒をクリームのように包み込み、まさに渾然一体としたおいしさに。秋半ばの9月には北海道から、冬本番からは三陸から、鮮度のいいものを厳選して仙台へ。繊細にして濃厚な味わいを、それこそ“たらふく”お楽しみください。

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profile-image うまい鮨勘 総本店
髙橋勇吾 店長

石巻市出身。16歳で板前を志し、以来、職人一筋40年。何事も“いい塩梅”を心掛け、その魚本来が持つおいしさを十分に引き出すことを常としている。朗らかな人柄、確かな腕はカウンター席にたくさんの常連を生み、「勇吾店長が握る寿司が食べたい!」という声も多い。