うまい鮨勘 銀座本店

松川さん

日本橋や神戸にも支店を持つ老舗寿司店で3年ほど修業を積んでいた松川さんが『うまい鮨勘』へと転職を果たしたのは、2022年10月のこと。
「銀座という街は、お客さまの食に対する審美眼もとても厳しい街です。その銀座の寿司店で働く人間として、勉強のためにいろいろな寿司店さんに食べに行っていました。その中の一軒として『うまい鮨勘』の系列店である『銀座 鮨正』を訪れたのですが、味はもちろん、サービスや店全体に漂う雰囲気がとても良かったんです。ホールの方のドリンクをお勧めするタイミングやおしぼりを替えるなどの目配り、心配りも本当に行き届いていて、わたしのような若い客にもとても丁寧。そして、対面してくださった板前さんがまた親切で話しやすくて、もちろん握りの技術もすごくて、その方に会いたくて『銀座 鮨正』に通うようになりました。その時に勤めていた店では奥にあるキッチンを担当していたので、いざ自分がカウンターに立った時にお客さまにどう気遣いすればいいか、分からない部分が多かった。それが自分の足りないところだな、と感じていた時に、自分のお相手をしてくれていた『銀座 鮨正』の職人さんが『うまい鮨勘 銀座本店』の親方になるという話で、“一緒に仕事をしないか”とわたしに声を掛けてくださったんです。それで、週に2日ある休みの1日を、『うまい鮨勘 銀座本店』でアルバイトすることになりました」

どの『うまい鮨勘』も雰囲気がよく、あたたかい

寿司職人として一人前を目指す大切な勉強の場として、『うまい鮨勘 銀座本店』を選んだ松川さん。その真面目さと積極性でさまざまな仕事を一気に吸収し、信頼を得ていきました。 「実際に自分が働いてみて、『銀座 鮨正』で客として感じた雰囲気の良さが『うまい鮨勘 銀座本店』にもあって、“ああ、これは『アミノ』という会社全体が持っている雰囲気なんだな”と肌身で感じました。お客さまに対する態度と、スタッフ間で対する態度に裏表がないんです。もちろん仕事のクオリティに対する目は厳しいですが、教えてくださる時はとても親身になって教えてくださるので、仕事が本当に楽しいと思えるようになりました。ですので、“本格的にここで一緒に働かないか”と言っていただいたときは本当に嬉しかったし、“評価している”“期待している”ということをストレートに伝えていただいてモチベーションが上がりました」

約半年のアルバイトでは主にホールを担当、厨房やカウンターとの連携や気遣いのポイントなどを重点的に教わったといいます。仕込みや調理の基本は同時進行で続けていた前の職場で教わっていたので、正式に入社した2022年10月の段階で松川さんは文字通りの即戦力に。「カウンターに立ち始めた頃は、そのスピード感についていくのがやっとでした。親方が司令塔として見守っていてくださるのですが、それでも自分の手元の仕事をしながらキッチンやホールとやりとりして、もちろん目の前のお客さまとの会話や気配りを大事にしなければならない。バタバタしていたと思います。でも、そのたくさんのタスクがひとつひとつ独立しているんじゃなくてちゃんと一連の流れになっている、と身体が覚えてからは、余裕を持って仕事ができるようになったと思います」

お客さまと対話しながらのもてなしに魅力を感じて

静岡市で生まれ育った松川さんが目指した料理人。洋食から寿司職人へと転向した理由は、松川さんが『うまい鮨勘』へと転職した理由とも繋がっていました。「父がイタリア料理のシェフをしていて、その姿に憧れて中学生ごろには“料理人になりたい”と漠然と考えていました。当然、最初は洋食の料理人になりたいと思っていたのですが、19歳で料理の専門学校に入学して、いろんな飲食店で研修を受けるうち、寿司店の在りかたにすごく魅力を感じたんです。お客さまと直にコミュニケーションをとりながら、自分の作った料理を最高のタイミングで味わってもらえる。お客さまも、自分に会いたいと思って来てくださる。それが、自分が目指す料理人の在りかたなのではないか、と感銘を受けて寿司職人を志望しました。

自分が客として通っていた『銀座 鮨正』や現在働く『うまい鮨勘 銀座本店』で、それが確信に変わりましたね。ここ銀座は、地元の方だけでなく日本中、世界中から観光でいらっしゃる方が多い街。誰もが銀座という特別なクオリティを期待しておいでくださるので、料理も接客も細心の気配りを心がけています。外国からのお客さまに対しては英語での応対も必須ですから、寿司の専門用語や魚の名前などをどう表現するかは少し苦労しましたね。でも、お話していると、徐々になんとなくおっしゃっていることが分かってきたり、あちらにも伝わったりしているので、やっぱりコミュニケーションありきなんだなあ、とすごく楽しい。また、ご家族連れのお客さまがいらっしゃった時に、小さなお嬢さんがお食事が終わった後で紙に何か書いていたんです。なんだろう、と思っていたら、わたしに宛てた似顔絵のメッセージカードだったんです。おいしかった、楽しかったというお気持ちがすごく伝わって、ものすごく嬉しかったです」

マニュアルに留まらない人材づくり

寿司職人としてカウンターに立つようになって約1年。松川さんの眼差しはよりグローバルな世界へと向いています。 「調理の専門学校を出たばかりの方や、調理経験ゼロの方より一歩早くカウンターに立つことができたのは、3年弱の厨房経験があったから。でもそれだけに要求されるレベルも高いので、日々勉強です。寿司は種にいろいろな仕事を施して一貫の料理に完成させるものですが、魚種や旬、脂の乗りかたなどで味わいが大きく変わります。わたしが最初に親方に言われたのは、“時間に縛られるな”ということ。小肌なら何パーセントの酢で何時間、というようなマニュアル通りの時間に縛られると、眼の前の魚のおいしさを見逃すぞ、と。時間で覚えるんじゃなくて、目や鼻、耳、舌、食感、とにかくいろんな感覚を磨いて、それで判断しなさい、と。

寿司の仕込みだけでなく、茶わん蒸しを蒸す時間や天ぷらの揚げ時間なども同じです。基本的な技術は親方や先輩たちが教えてくれますし、“自分が一番いいと思う方法でやってみなさい”と言ってくださるから、その技術を自分のものにするにはとにかく経験値を上げていかなければ、と思います。その上で、自分が握った寿司が食べたい、自分と話したい、と思ってくださるお客さまを増やすことが目標。それが一番、お店にも貢献できることだと思うので。そして、いずれは海外でも自分の寿司を楽しんでほしい、と思っています。『アミノ』では海外店舗も展開しており、若手社員の赴任や一時派遣なども行っています。目の前の仕事をしっかりやって、もしチャレンジできる機会があれば自信を持って手を挙げたいな、と思います」

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