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白身魚の女王、冬に肥える

真鯛と並ぶ白身魚の最上級魚・ヒラメ。

ぺったりとしたその姿や地味な色合いからは想像もできないほどに繊細で奥深い旨みを秘めた魚です。

ヒラメとカレイに同じ扱いだった時代あり

ヒラメ科に属する魚は世界で80種ほど。「左ヒラメに右カレイ」と言われるように、腹を下にした時に目が体の左側にくるものがここに属し、右側に目のあるカレイ類と区別されています。しかしかつては「ヒラメ」という呼び名自体、東京近郊だけの方言に近く、多くの地域ではヒラメとカレイはほぼ区別なく扱われていたそうです。その名残なのでしょう、新潟など北陸の一部では今もマガレイを「ヒラメ」、ヒラメを「カレイ」と呼ぶそうです。

寒ビラメを捌く職人の技と心

ヒラメは一年を通して獲れますが、「寒ビラメ」が最上と言われるように、秋から冬にかけて徐々に味がよくなり、12月から2月に旬のピークを迎えます。キンと冷たい冬の波にもまれて厚く身を太らせ、豊富な餌を食べて脂を蓄えるのです。活〆のヒラメはエラから内臓を出して血抜きし、包丁での「すき引き」という手法で小さな鱗をすき取ります。金タワシや鱗取りでガリガリ取るよりも魚体への負担が少なく、より旨い握りや造りになるのです。頭、尾びれ、腹びれの順に落としたら尾の方からエンガワをしゅーっと外し、身は三枚におろして腹と背に分けます。

鮮と熟、甲乙つけがたきおいしさ

「旬のはしりのヒラメは昆布締めもいい。けれどこれくらい身が肥えてて鮮度がいいならそのまま握って味わうのがおすすめです」 。髙橋さんの包丁がよどみなく動き、透明感のある真っ白な身が切りつけられていきます。ワサビの緑がうっすら透けるほどに純な色です。

淡く繊細な旨みをじっくりと

ごくシンプルに醤油で味わうヒラメの握りは、もっちり、しゃっきりとした歯ごたえ。そして噛むほどにじんわりと滲む淡い旨みが、いつまでも味わっていたいほどに繊細です。昆布締めの旨みを必要としないほど、純粋なヒラメのおいしさが光っています。

フグにも負けない味わいをひと皿に

鮮度のいいヒラメの楽しみ方、その決定版とも言うべきこのひと皿。まるでフグ刺しのように、厚みに強弱をつけてひいたヒラメの薄造りを、アサツキとぽん酢、ワサビで味わいます。くにくにとした小気味よい弾力、じんわり滲む旨み、さっぱりとした後味。湯引きした皮のコリコリとした食感やエンガワの甘さも味わえるのは、大きなヒラメも丸ごと買い付け独自に捌く『うまい鮨勘』ならではの心意気があればこそです。

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profile-image うまい鮨勘 総本店
髙橋勇吾 店長

石巻市出身。16歳で板前を志し、以来、職人一筋40年。何事も“いい塩梅”を心掛け、その魚本来が持つおいしさを十分に引き出すことを常としている。朗らかな人柄、確かな腕はカウンター席にたくさんの常連を生み、「勇吾店長が握る寿司が食べたい!」という声も多い。