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炙りで引き立つ、繊細な旨み

産卵のため瀬戸内海に集まる5~6月が漁期としても産地としても有名なこと、そして魚偏に春という漢字からも、サワラは長く春が旬の魚とされてきました。しかし現在では、地域によって春と秋の2つに旬が分かれています。関東以北では10月から12月にかけて獲れる寒サワラが、そして関西以南では4月から6月にかけて獲れる春サワラが喜ばれています。

シュッと姿のいい出世魚

サワラはブリと同様に出世魚。関東では一般に体長50㎝未満のものをサゴチ・サゴシと呼び、それ以上に育ったものをサワラと呼びます。大きいものでは1m近くまで成長しますが、それでも体型は細長く、「腹が狭い=狭腹→サワラ」というのが名の由来とされています。

銀の背を三枚おろしに

この日のサワラは、石巻港直送の活〆もの。きらきらと輝く魚体に澄んだ目が新鮮さを物語ります。頭を落として内臓を取り除き、中をきれいに洗います。「昔はこのサワラの卵巣でカラスミを作ってたんだよ」 。魚の扱い方だけでなく、食文化や歴史にまで及ぶ髙橋さんの知識。寿司店のカウンターに立つことは、こうした知識や話術に触れられることも大きな魅力です。三枚におろし、背側と腹側に分け、最終的には計4本のサクができました。

切り方にも工夫あり

『うまい鮨勘』流のサワラの握りは、そのしっかりのった脂を活かして炙りに。包丁で切りつける際、最後に包丁を立てることでカドがピッと立ち、握りの姿もさらに美しいものに。炙りの香ばしさをまとったサワラは、皮目の脂がとろけつつ柔らかな身がふんわりとほどけます。

炙りで味わいの三重奏を楽しむ

お造りでの注文には、握りよりもだいぶ厚く切って皮目だけを炙ります。ばりっと香ばしい皮、とろける脂、しっとりとした身の三重奏は、ワサビ醤油はもちろん、クリスマス島の岩塩とかぼすで味わうのもおすすめです。

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profile-image うまい鮨勘 総本店
髙橋勇吾 店長

石巻市出身。16歳で板前を志し、以来、職人一筋40年。何事も“いい塩梅”を心掛け、その魚本来が持つおいしさを十分に引き出すことを常としている。朗らかな人柄、確かな腕はカウンター席にたくさんの常連を生み、「勇吾店長が握る寿司が食べたい!」という声も多い。